カタログ、EC撮影などでアパレル商品の魅力をさらにアップさせる、モデル撮影。弊社が力を入れている撮影内容のひとつなのですが、モデルと商品の組み合わせといった要素に加え、「背景の選び方」も大切な要素です。今回は、モデル撮影の基本知識として、白バック以外にどのような撮影があるのか、ご説明していきたいと思います。
定番の白バック（背景紙）撮影
まず、定番の背景紙撮影について。もともと、インターネットでのショッピングが発展する前段階から、雑誌の撮影において背景紙の使用は一般的でした。バック紙、またはバックドロップとも言われる背景紙、特に白い背景を使用して撮影する理由は、人物や洋服、バッグといった商品をすっきり見せるためには非常に有効ですので、ほとんどのショッピングサイト、カタログ撮影などで幅広く使われています。
ECサイト、特にAmazonでは、メインの背景色を完全に真っ白（RGB色：R255/G255/B255の）にすることを推奨しているため、注意が必要です。ZOZOTOWNや楽天、Yahoo!ショッピングでも白背景の写真は多く掲載されているため、みなさんおなじみかと思います。
色付きのカラーバック紙、布を背景に使用する
背景紙は必ずしも白だけとは限りません。グレーやベージュ、黄色やピンクなど、さまざまな色味のカラーバック紙（背景紙）が存在します。格安撮影の場合、主に白バックでの撮影が主体となりますが、カラーバランスなどにもある程度、配慮した撮影の方が高級感をプラスするなど、他社との差別化につながるかと思います。
某社のデータでは、白バックよりも色付きのバックを使用した方が目立ち、クリック率が上がったというデータもあるようです。もちろん、データをそのまま鵜呑みにするのもまずいかもしれませんが、これは、商品だけを掲載するよりもイメージカットや、モデルカットを掲載した方がクリック率が上がる、ということにも関係してくるかと思います。（一般論として、ぱっと目を引く、おしゃれに見える、という要素は重要です）
ちなみに、メンズの撮影ではカラーの背景紙を使用することはあまりないため（紺色や濃緑などの渋い色はあり得ます）、グレーもしくは白、商品によっては黒に近い背景などが望ましいでしょう。
また、背景紙以外では、布を使用して撮影する場合もあります。
ハウススタジオ風背景での撮影
次に、「ハウススタジオ」と呼ばれるスタジオの雰囲気を背景に使用する撮影もあります。主に、欧風の建物（南欧プロヴァンス風や、アンティーク風など）の内観でおしゃれな雰囲気を演出できます。ただ、一般的にハウススタジオをレンタルすると、1時間に15,000円以上の費用が発生することもあるため、広告や紙媒体（ブランドのカタログ）のように予算が潤沢にあるケースを除き、格安の撮影を目指す場合ですとなかなか難しいというのが実情です。
EC撮影だとあまりハウススタジオ風の撮影は難しいですが、別料金で提供をしているスタジオもあります。弊社スタジオの場合ですと、敷地内のおしゃれなスペースや、もともとの白壁と白いフローリングに小物などをプラスし、ハウススタジオ風の雰囲気を使用して撮影を行っています。
ロケ撮影で背景や質感に変化をつけ、さらに雰囲気度アップ
最後にご紹介したいのは、ロケ撮影です。ロケ撮影、外ロケなど、さまざまな呼び方がありますが、要するに屋外での撮影（ロケーション・シューティング）のことを指し、撮影業界では、スタジオ撮影の対義語になっています。
一般的なスタジオ撮影の光とは異なり、自然な雰囲気での撮影ができる点が魅力ではありますが、屋外での撮影のため、当然天候の影響を受けやすいという点も注意が必要です。以前、弊社に相談をいただいたクライアント様は、事前にサイトローンチの日程が決まっていました。そのため、サンプルの仕上がり＆撮影の日程から逆算するとロケ撮影のみを決め打ちで行うとリスクが高いと判断し、7～8割をスタジオ撮影、残りの商品をロケ撮影で実施することによって、さまざまなバリエーションの写真を撮ることをご提案しました。
（時間制プランですと、着替えのために移動が必要なため、スタジオ撮影のみに比べると撮影カット数が少なくなることも留意点のひとつです）
撮影のイメージや目的に合わせて背景を選ぶ
このように、ロケ撮影は雰囲気重視の写真が撮れる反面、弊社では雨天時のバックアッププランを含め、ベストの撮影ができるように提案を行っています。
以上のように、白バック以外にも、御社商品の魅力度を上げるための撮影手法はさまざまです。モデル撮影における背景の役割について、ご理解いただけたかと思います。ベストな方法で競合各社との差別化を図り、テーマに合う撮影を行うことで、御社のプレゼンスを高め、ブランディングと売上のアップにつなげてください。
